映画鑑賞記「THE GUILTY ギルティ」

公開日 2019年03月29日

THE GUILTY ギルティ

監督:グスタフ・モーラー
原題:Den skyldige
製作年:2018年
製作国:デンマーク
上映時間:88分

さまざまな電話が来る緊急通報指令室にかかってきた一本の通報。問題を起こしてこの指令室に移動させられている警官アスガーが応対したこの通報の主は、「今誘拐されている」と緊迫した様子で訴えた。アスガーは電話から得られる情報だけで彼女を助けようとする。

人間の情報入力は約8割が視覚からだと一般的には言われている。視覚が優位に働いてしまうから、目を閉じて初めて聞こえるもの、感じるものがある。そしてまた、視覚を遮断して得た情報は、より一層想像力を刺激する。この映画ではそれを体感する。

作品の舞台は緊急通報指令室の中で、88分間場面の移動がほとんどない。
でも今この映画を思い返すと、ただ想像していたのではなく、さまざまな場面を映像ではっきりと見たような気がしてくる。

音しか聞いていないはずなのに。

ほぼ同じ部屋の中での88分間。そう文字にすると退屈そうだが、緊張感はどんどん加速する。ストーリーをごく簡単に言えば、サスペンスであり、ミステリーとなるのだが、しかし、実は、事件の犯人や真相を知る、というのがゴールではなく、自分を試される作品なのだ、と見終わって理解した。

公式サイトには「試されるのはあなたの想像力」とあるが、試されていたのは想像力ではなく、その根本にあるものだ。思わず「え!」と声が出てしまう場面で、私は、俯瞰的に見ようとしていた自分こそが、思いこみや偏見に満ちていたということを思い知らされたのだ。少なからずショックでもあり、そして自分を見直すよい機会をもらった気がした。

こういう展開のあの映画やこの映画との違いもお伝えしたいところだけれど、作品名を挙げるだけでネタバレになってしまうし、本作はネタバレ厳禁なので・・・見終わった皆さんとは、ぜひお話したいものです・・・。

この作品、すでにジェイク・ギレンホール主演でのハリウッドリメイクが決まっているらしい。ネタバレ後になるのにどう作ってくるのか興味深い。

2019年3月3日鑑賞 by K.T