公開日 2015年07月01日
京王井の頭線三鷹台駅から南へ徒歩3分ほどの所にある三鷹台児童公園には、ちょっと変わった姿をしたブランコがあります。赤茶色の一本の柱の高さの違った位置から黄色い棒が腕のように2本伸びていて、それぞれにブランコがぶら下がっています。この一風変わった形の遊具こそ、映画「ルート225」で主人公・エリ子と弟・ダイゴが乗っていたブランコです。
▲ポスターにも使われていた姉弟が乗ったブランコ
「ルート225」は、2006年に公開された中村義洋監督作品で、多部未華子演じるエリ子は、いつもちょっとつまらなそうにしているが、本当は家族想いなのに、普段はクールに振る舞い、それを隠している中学生。ある日、それまでの世界と、少しずつ違う世界に迷い込んでしまったエリ子とダイゴの姉弟が、どうしてこうなったのか、その原因を探りつつ、知恵を絞って、なんとか元の世界に戻ろうとする物語です。当時、主人公と同じ14歳だった多部未華子(1989年生まれ)の演技が光る秀作です。
映画は、練馬区関町北や調布市の商店街などでロケが行われていますが、物語の山場である電話ボックスのシーンが撮影されたのが、ここ三鷹台児童公園です。別の世界にいる両親との唯一の通信手段である読売ジャイアンツの髙橋由伸のテレカ。使用可能度数がわずかになり、これが両親との最後の会話になるだろうと思いつつ、姉弟が電話をかける電話ボックスも公園内にあります。
▲両親との最後の会話をした公園内の電話ボックス
公開から11年の歳月が流れ、ブランコの後ろに見えるフェンスの植え込みの樹木が大きくなっています。そして、特に印象が違っているのは公園の整備が進み、ブランコの周りも青々と繁った芝生になっていることです。スマホ、ケータイ全盛の時代になって、街中から公衆電話が姿を消しつつありますが、三鷹台児童公園には映画に登場した電話ボックスがロケ当時のまま現役で活躍しています。公園内の電話ボックスを見れば、両親がいなくなった不安を隠し、頼もしいお姉さんを気丈に振る舞っていた中学生の姉・エリ子の姿が思い起こされます。
▲三鷹台児童公園
■三鷹台児童公園
三鷹市井の頭1-3- 26 ※公園には管理事務所等はありません。
■「ルート225」
監 督:中村義洋
脚 本:林民夫
配 給:オフィス・シロウズ
公 開:2006年
【出演者】
田中エリ子 :多部未華子
田中ダイゴ :岩田力
富山のオジサン:崔洋一
富山のオバサン:梅沢昌代
エリ子の母 :石田えり
エリ子の父 :嶋田久作
マッチョ :石原裕太
■原作は、芥川賞作家・藤野千夜さんの同名小説です。