公開日 2015年12月27日
監督:シャロン・マイモン タル・グラニット
キャスト:ゼーブ・リバシュ/レバーナ・フィンケルシュタイン他
原題:The Farewell Party
製作年:2014年
製作国:イスラエル・ドイツ合作
これは彼らの「ハッピーエンド」になるのだろうか?と、鑑賞後にまず思いました。
重いテーマをユーモアを交えて描いている、邦題のタイトルは、そこのところを伝えたかったのだろうと思いますが、
確かに笑えるところもたくさんあるのですが、それでも、やはり重い作品です。
ですが、じつは、本作は観る人によってだいぶ印象が違うらしいのです。
勿論老人の話なので、年齢にはかなり左右されて当然ですが、考え方や生き方によっても変わってくる・・・意図してそのように作られているようです。
舞台はイスラエルの老人ホーム。発明好きの老人ヨヘスケルは自分も友人も楽しめるような発明を楽しんでいた。
ある日彼のところに必死の面持ちで友人が頼んできたのは、がんの末期で苦しむ夫を安楽死させるということだった。
悩みに悩んだ末、苦しむ友人のために願いを聞き届けたヨヘスケル。が、噂をき聞いた人たちが、つぎつぎと依頼に・・・
安楽死については、たとえば「海を飛ぶ夢」や「母の身終い」などさまざまな作品でも描かれていますが、本作で特別なのは、認知症が進行しつつある主人公の妻のエピソードだと私は思います。
詳細はネタバレになるので控えますが、これをどうとらえるのかは人によって全く違ってくるでしょう。正解が見つからない問題を出されたとも言えます。
本作のテーマは、「安楽死について」というより、生命を全うするというのはどういうことか、ひとりひとりの人生は誰のものか、という問いかけなのです。
誰にでも死は訪れます。死は怖いことなのか?本作を観ると、十分に生きたのに死ねないことのほうが怖いのでは、とも思わされました。
さて、本筋とは離れますが、イスラエル映画というのは珍しいので(全編ヘブライ語です)、そこも見る価値があるかもしれません。
墓石の上に石を置くという独特の習慣や、キブツ(ちょっとしか出てこないけど)なんていうものが出てくるのも興味深いですよ。
(2015年12月1日鑑賞 by K.T.)