映画鑑賞記「ストレイト・アウタ・コンプトン」

公開日 2016年02月21日

ストレイト・アウタ・コンプトン

監督F・ゲイリー・グレイ
原題    Straight Outta Compton
製作年    2015年
製作国    アメリカ
上映時間    147分
映倫区分    R15+

 

ギャングスタ・ラップという分野の伝説のグループ、N.W.Aの始まりからを描いた作品。

ヒップホップという音楽ジャンルの中で、
特に過激な「ギャングスタ・ラップ」と言われた分野は、確かに言葉の種類で言えば聞くに堪えない(アメリカでもラジオでは流せなかったらしい)ものですが、
その成り立ちを知ると納得します。
N.W.A.のラップは人種的偏見、抑圧された環境から生まれた言葉の音楽。それはただの音楽ではなく、自分たちの現状を吐き出し伝えるための叫び、
自分たちではいかんともしがたい状況の吐露であり、受けている差別に対する怒りの表現でした。

その怒り、根底にある差別は今現在どうなっているのか?そんなことも思わずにはいられません。

(・・・とはいっても、全体的に言えば彼らのラップの内容は女性蔑視的な表現がとても多いし、内容自体は全てを支持できるものではないのですが・・・)

147分という長い作品ですが、長さを感じさせません。
それは音楽の魅力だけでなく、栄光と挫折、抑圧と抵抗、友情と裏切り、別れと再会、といった彼らの物語にもまた引きこまれずにはいられないからです。

ラップやヒップホップに興味がない方は観ようと思わないと思いますが、
1980年代末のアメリカはこうだったというのを知るという意味で、私のようにヒップホップの知識が全くなくても十二分に楽しめますし、
全くなじみがないからこそ、観るべき作品だと言えるかもしれません。

2016年1月11日鑑賞 by K.T.