公開日 2019年07月01日
監督:藤井道人
製作年:2019年
製作国:日本
上映時間:113分
本作は、理想や意欲と現実の間にいる若い新聞記者と、良心と仕事との葛藤に心揺れる若い官僚とが、政権が隠す情報を暴こうとするポリティカルサスペンスである。
ノンフィクションである「記者たち ~衝撃と畏怖の真実」「ペンタゴン・ペーパーズ」など、アメリカでは政治をテーマにした作品はいつの時代でもあるけれど、最近の日本ではドキュメンタリー以外ではなかなかなかった作品だ。ドキュメンタリーではなく、物語のある映画という手法でこそ伝えることができるもの、それが本作にはある。これはフィクションなのだけれど、実際の出来事と重なるトピックや、テレビ越しに出てくる実在人物の談話などが、私たちをこの物語に効果的に引き込むのだ。
人は自分の見たいものを見るし、信じたいものを信じるものだ。ニュース、報道を見ていても、普通はおそらくはそんなバイアスがかかっている。作中、吉岡の父親のメモ「誰よりも自分を信じ、疑え」という言葉は、私たちにも向けられている。感想をうまくまとめて伝えられないのは、私自身、私が感じたことがバイアスがかかっていないのかと迷っているせいでもある。
でも、背筋の凍る結末に、このままでこの国はいいのか?と改めて思わされたのは間違いない。
これはフィクションなのか?
それとも・・・
あなたはどう思うだろうか?
2019年6.29鑑賞 by K.T