映画鑑賞記「アスファルト」

公開日 2016年09月28日

アスファルト

監督:サミュエル・ベンシェトリ 
原題:Asphalte
製作年:2015年
製作国:フランス
上映時間:100分

舞台はフランス。寂れたエリアにある落書きだらけのおんぼろ団地。
こういう団地は普通、治安も悪いと決まっていますが、
この団地は、そんなことからも切り離されているし、そこで起こったこともまた、ちょっと不思議。
といっても、決して「空想の物語」としてのファンタジーではなく、
孤独な人たちが、「え?」というような出会いをする、なんとも素敵なファンタジーなのです。

うら寂しい団地を舞台に描かれるのは3組の出会い。
自業自得で外出がままならなくなってしまった車いすの男と深夜勤務の看護師。
いつも留守の母親と住む高校生と、売れなくなった女優。
そして、
モロッコからの移民の女性(息子は投獄中)と英語しか話せないアメリカ人宇宙飛行士(!)。

どのストーリーも、閉ざされていたそれぞれの心が少しずつ開いていくのが押しつけがましくなく描かれていて、ふんわり暖かくなり、気がつくと涙が出ちゃったりしてしまいますよ。

女優がぼろぼろの団地に引っ越したり、宇宙から団地に着陸なんて、ありえないですよね?

でも、

不思議に思えることも案外普通にあるんだよ、顔を上げてみたら誰にでも起こりえるんだよ

というメッセージを、作品の中で繰り返し聞こえるあの奇妙な音が伝えているのかな?と私は思ったのですが、皆さんはどう思われるでしょうか。

(2018.9.3鑑賞 K.T.)

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