映画鑑賞記「今日も嫌がらせ弁当」

公開日 2023年10月27日

三鷹市芸術文化センターでは、9月から1か月おきに、「CINEMA SPECIAL 料理が心を結ぶ映画特集」と題し、料理に関連する映画が上映されます。
今回は、その第2回、2023年11月18日(土)上映の映画「今日も嫌がらせ弁当」について!

夫を交通事故で亡くしたシングルマザーのかおり(篠原涼子)は、自然があふれる八丈島で、次女の双葉(芳根京子)と二人暮らし。高校生になって反抗期真っ盛りの双葉は、かおりとは目も合わせず、話かけられても返事すらしない。そんな生意気な娘の態度にカチンときたかおりは、双葉が嫌がる「キャラクター弁当」を作って仕返しを試みる。仕事で夜遅く帰った日も、二日酔いの日も、毎日休まず「嫌がらせ弁当」を作り続け、娘もまた「ウザい」と反抗しながらも、母からのメッセージを受け取るように一口も残さず毎日食べ続ける。そして、ついに高校卒業の日を迎え…。

思春期+反抗期の子どもの成長と、母親の子離れのお話。いつまでも、あの、可愛かった子どもではなく、成長していくものなのだ。

嫌がらせ、の体を取りながらも気持ちが感じられるお弁当は、ただの「メッセージ弁当」とは違う。それは、心のこもった手紙で、「完食」は、感謝の返信だ。

反抗期の娘に、真っ向勝負で向かっていくその深い愛情と、思春期特有の、感謝も愛情もあるけれどどうしても素直になれない娘の気持ち。

誰でも(どちらかの立場で)多かれ少なかれ経験していることだけに、心に深く沁みる。

愛情のこもったお弁当が中心ではあるのだけど、お弁当は、実は脇役だともいえるかもしれない。お弁当作りが苦手だった方にも、そんなお弁当をもらったことも作ったこともない人にも、この感動は胸にぐっとくるでしょう!

<余談>
子どものお弁当は世界の他の国でもあるだろうけど、こんなに手の込んだお弁当は、日本だけかも。でも、お弁当文化としては、インドが面白いです。「めぐり逢わせのお弁当」で、是非その配達システムに驚き、それを利用したストーリーにキュンとなり、「スタンリーのお弁当箱」でほっこりウルッとしてみてはいかがでしょう。