映画鑑賞記「死霊館 エンフィールド事件」

公開日 2016年08月18日

死霊館 エンフィールド事件

監督ジェームズ・ワン
原題:The Conjuring 2
製作年:2016年
製作国:アメリカ
上映時間:134分

本作は、「エンフィールドのポルターガイスト」を描いた、正統派ともいえるホラー作品だ。

イギリス、エンフィールドのポルターガイスト事件は、たくさんの録音、画像、証言が残る、信憑性の高い心霊現象だと言われており、本作のエンディングでもその一部が流される。

11歳の少女ジャネットの周りで、次々と異様な現象が起き始める。家具が勝手に動く、身体の空中浮遊、腕につく噛み跡、老人の声で話すジャネット・・・
心霊研究家のウォーレン夫妻はこれが霊の仕業であるのかを確かめるための調査を始める。確証が得られずに事件から手を引こうとしたときに・・・

悪魔祓い、というと、十字架や聖書や聖水が出てきて、もちろん、悪魔というのは人間の心のうちにある、ということならばよいのだけれど、本当に払うべき「何か」が存在するのだとしたら、その「何か」にも国境や宗教の壁があるの???と、こういった種類の作品に接するときはどうしても思ってしまう。
けれども、本作は、そこの描き方(ネタばれになるので詳細は未記載)も誠実であるところが、他のホラー(オカルト)作品と一線を画しているし、恐怖描写も、うわっと声をあげそうになるシーンもあるけれど、奇をてらうのではなく、取りつかれたジャネットや彼女の母親の恐怖と孤独と絶望が、観客である私たちの恐怖へと伝わってくるように表現されていて、「正統派」と呼びたくなる。

ホラーは、最後には家族の結束で打ち勝つ、というような展開も多いが、本作はそれ以上に、いや、そもそもこれは愛情と信頼を描いた作品なのだと観終わって気付いた。

死霊館2、となっているが、1を観ていなくても問題なく楽しめる。

 

by K.T.