映画鑑賞記「ハクソー・リッジ」

公開日 2017年06月30日

ハクソー・リッジ

監督:メル・ギブソン
原題:Hacksaw Ridge
製作年:2016年
製作国:アメリカ・オーストラリア合作
上映時間:139分

「ハクソー・リッジ」は、太平洋戦争末期の、沖縄県浦添市・前田高地の戦いを主な舞台とし、信仰の理由から武器を手にすることをしない一人の兵士が、武器を持たないまま、沖縄の激戦地でで75人もの兵士の命を救ったという実話だ。

デズモンド・ドスは、セブンスデー・アドベンチスト教会の敬虔な信者であり、「汝、人を殺すなかれ」という教えから、武器を手にすることをしない。しかし、武器を持てない自分でも衛生兵でなら・・・と考え、陸軍に志願する。
入隊したものの軍隊では理解を得られず、軍法会議にかけられるまでになってしまうが、ついには彼の信念が認められ、沖縄の最大の激戦地、ハクソー・リッジへと向かう。さっきまで言葉を交わしていた仲間が次の瞬間には撃たれ、手足を命を失うという中で、ドスはその信念通りに誰も見捨てず、ただただ兵士を救おうとする。

人を殺すのが戦争だ、という上官に対して、「みなが人を殺そうとする中で、一人ぐらい助けようとする人間がいてもいいのではないか」とドスは言い返す。
心優しいというだけではなく、その自分の良心、自分の信念を持ち続ける強さ、そして、人間の命が文字通り紙屑のように散っている戦場の中で、実際にその言葉通りにする勇敢さに心を動かされずにはいられない。

戦闘場面の描写は容赦がない。
だからこそ、その中で、倒れていく人々をただただ救おうとそうるドスの強さが際立つのだろう。

また、銃をどうしても手に取らないドスに対して、上官が、「愛する人が攻撃されたら、(武器がなくて)どうするのだ」と尋ねたときの、ただ「守ります」というドスの答え、それから、彼の父親が第一次大戦で戦った理由として言うセリフ。
それらは、今のこの世界の状況、そして何より、危うい日本の状況に対して問われているようにも、私は感じた。

本土で暮らす私たちは、戦争の話は知っていたような気になっても、沖縄戦については数字以外には何を知っているのだろう。私は文字で書かれたもの以上のことを知ってはいないと思う。アメリカ映画から、というのは情けない話ではあるが、沖縄戦について、そして戦争の意味や平和について考える機会としたい。6月23日は沖縄慰霊の日である。

『ハクソー・リッジ』の公開によせて(沖縄県・浦添市HP)

2017.6.24鑑賞 by K.T