映画鑑賞記「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅 」

公開日 2019年08月28日

クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅

原題:THE EXTRAORDINARY JOURNEY OF THE FAKIR
製作年度:2018年
上映時間:96分
製作国:フランス,アメリカ,ベルギー,シンガポール,インド
監督:ケン・スコット

亡くなった母との約束を果たすためにインドのムンバイからフランス・パリに来た青年アジャは、子どものころカタログで憧れた家具屋のクローゼットに隠れたところ、そのクローゼットがロンドンへと配送されてしまう・・・そこから、アジャの、自分の意志とは離れた数奇な旅が始まる。


クローゼットに閉じ込められたままあちこちに行ってしまうの?と思ったら、クローゼットは最初だけで、あとは、偶然が偶然を呼んだような旅だった。

ムンバイから、パリ、ロンドン、バルセロナ、ローマそしてリビアと、それぞれの街で出てくる人たちも、いかにもその国の人!という作り方で、観ている私たちもちょっとした世界旅行が楽しめる。

アジャはこの話を、これから少年院に送られるという荒んだ少年たちに語るという設定だ。アジャが語る物語は、(「大切なところだけ」は真実らしいが)あり得るわけはないのだけれど、こんな素敵な話があったらいいな、とつよくつよく思ってしまう。かわいくて、様々なエピソードに大笑いしてしまうけれど、これはただのコメディではなくて、人が夢を持ち続けることの大切さを伝え、そして、現実に打ちのめされても、全てを失ったと思っても、それでも心を閉ざさずに心の目を向けてみようというメッセージに満ちている。

物語の力~物語を見いだせる力~は自分も周りも救う幸せな力なのだ。

誰もが、沢山笑って、そして観終わったあとには、心がほんわかと温まっているのを感じると思う。

なんとなく、ここで紹介する映画にインド映画が多いような気がしているのだけれど、映画大国インドから日本に来るような選りすぐりの作品はやっぱりちょっと違うかも。本作は、ほどよいインド感(!?)で、お決まりの歌と踊りは自然に入ってくるし(しかも最初に歌って踊るのはイギリス人!)インド映画に抵抗がある人も楽しめるはず。封切りが少し前で上映が限られてしまうのだけれど、今なら吉祥寺のアップリンクで観られます!

2019年8月24日鑑賞 by K.T