想い出のロケ地『ニライカナイからの手紙』井の頭恩賜公園

公開日 2020年06月24日

 ニライカナイとは沖縄地方に伝わる異界伝承で、遥か遠い東の海の彼方にある場所とされています。熊澤尚人監督の映画『ニライカナイからの手紙』は、沖縄本島からはるか南の八重山諸島にある竹富島で撮影された作品で、娘に対する母親と祖父の想いが、南の島の美しい景色と共に映し出されます。 
 島を離れ上京したままの母と、蒼井優演じる毎年誕生日に届く母からの手紙を支えに生きていく少女・風季。祖父で竹富郵便局長のオジイと島の人々に優しく見守られながら育ちます。父親は、ずっと前にカメラだけを残し死別。家族3人で暮らしていましたが、母の東京行きが決まり、6歳の風希は竹富島に残されます。フェリーに乗り込む母は、「お母さん、手紙書くからね」と、その言葉を最後に竹富島を離れます。すぐに帰って来ると思っていた母は、島に戻って来ません。でも、毎年、誕生日には必ず母から手紙が届きます。「風季ちゃん、誕生日おめでとう」、いつもその言葉で始まる手紙は、まるですぐそばに居て見つめているかのようで、いつも風季を励まし勇気づけました。少女期の一番感受性の強い年齢を、時に帰らない母を恨み、時に母の存在に疑問を抱き、何度も読み返しすりきれた手紙をお守りがわりに、母を想い生きていきます。
 亡き父のカメラを愛用する風季は、写真の勉強をするために高校卒業後、東京に行く決心をします。オジイの反対を押し切って決めた東京行き、その決意の奥には、母からの手紙の押されていた「渋谷」という消印の存在も大きかったことでしょう。しかし、上京してからは、日常の忙しさの中で、いつのまにか自分の誕生日を忘れてしまうほどでした。そんな風季の19歳の誕生日に、渋谷一郵便局長の田中(前田吟)が手紙を持って現れます。  
 14歳の時に届いた手紙の中にあった、二十歳の誕生日に会う約束。その約束の場所が、三鷹市井之頭4丁目にある井の頭恩賜公園です。公園の下見を兼ね、父の形見のカメラを携えて訪れた風季が、 井の頭恩賜公園で、野外ステージで光るガラス玉の写真を撮ったり、弁天橋で親子連れの写真を撮ったりと、とても印象的なシーンが撮影されました。
  二十歳の誕生日、母に会うことはできるのでしょうか。物語の結末は、ぜひ映画でご確認ください。
 

井の頭恩賜公園
▲『ニライカナイからの手紙』のロケが行われた井の頭恩賜公園


『ニライカナイからの手紙』

ニライカナイからの手紙
(2005年/日本/熊澤 尚人 監督)

監督:熊澤 尚人

出演:蒼井優
   平良進
   南果歩
   金井勇太
   前田吟

 

井の頭恩賜公園
▲蒼井優演じる風季が光るガラス玉の撮影をした野外ステージ

井の頭恩賜公園
▲風季が親子連れを撮影した弁天橋

【ロケ地情報】
井の頭恩賜公園
三鷹市と武蔵野市にまたがる「井の頭恩賜公園」は、1917年5月1日に開園した都立公園です。三宝寺池および善福寺池と並び、武蔵野三大湧水池として知られる井の頭池を中心とした公園で、日本さくら名所100選にも選定されています。

地図

井之頭恩賜公園