映画鑑賞記「海の上のピアニスト イタリア完全版」

公開日 2020年09月25日

海の上のピアニスト イタリア完全版

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
製作:1998年 イタリア・アメリカ合作
原題:The Legend of 1900
170分


乗客が下船したあとの豪華客船の中に、一人の赤ちゃんが残されたていた。船の機関士に拾われた子どもは1900(ナインティーンハンドレッド)と名付けられ、天才ピアニストに育った。
これは船で生まれ、生涯船を下りることがなかった1900というピアニストについての伝説のようなおとぎ話のような物語だ。

船と共に生きた1900(ナインティーンハンドレッド)の物語「海の上のピアニスト」が日本で公開されたのは、約20年前。
エンニオ・モリコーネの音楽に彩られた、美しく切ない作品に、当時涙が止まらなかったのを思い出す。

音楽を担当したエンニオ・モリコーネが今年亡くなり、それに合わせたかのように、「4Kデジタルリマスター版」、そして当時にはイタリアでしか上映されなかったという170分の「イタリア完全版」が公開された。

結論から言うと、初見の方だけでなく、一度観た方にも、いや、一度観た方にこそ、このイタリア完全版のために映画館に足を運ぶことをオススメしたい!

1900にとってあの船が、船の上の人生がどういうものであったのか、また船の人々にとって、船にとって1900がどんな存在だったのか、この完全版だからこそ見えてくる。インターナショナル版には入っていなかった演奏もあり、感情を揺さぶるようなモリコーネの音楽もさらにたっぷりと楽しめる。

もちろん、1900の「どうすることもできないんだ」とでも言っているようなあの瞳に、彼の人生に、胸が締め付けられるのだけど、そんな気持ちになると同時に、映画と音楽のマリアージュとでもいうような、贅沢な映画体験をしたという気持ちになる。映画と音楽は切り離せないだけでなく、音楽があってこその映画なのだ。

2020年9月5日鑑賞 by K.T