映画鑑賞記「クイーンズ・オブ・フィールド」

公開日 2021年03月26日

クイーンズ・オブ・フィールド


原題:Une belle equipe
製作:フランス/2019年/95分
監督:モハメド・ハムディ

女子サッカーの映画はあったけれど、これは女子サッカーではありません。男子(?)サッカーリーグの試合に女性たちが出場するという話。ありそうでなかった!

歴史あるクラブチームSAPCは、過去には輝かしい成績も上げたらしいが、今はリーグ最下位。でも、地元で愛されているサッカーチームだ。残り4試合のうち、とにかく引き分けでもしないとリーグ落ちしてしまう。そんな崖っぷちの試合で、乱闘騒ぎを起こし、なんと全選手出場停止に!チームを救うべく立ち上がったのは、女性たちだった。

ありがちといえばありがちなストーリーではある。ダメダメスポーツチームを窮地から救うために選手をいろいろなところからかき集めて、初めはパラパラだったものがまとまり、素晴らしいチームになって皆をあっと言わす・・・みたいな。けれども本作が面白いのは、今までサッカーをする夫をサポートしてきた妻たちが「あなたたちができないならじゃあ私たちが!」と立ち上がるところと、そして、その状況に対応できない夫たちのダメっぷりだ。

フランスは、子育ての支援も、女性の社会参加も日本よりずっと進んでいるように思っていたが、「女がサッカーなんて!」という反応も、家事育児を任されて狼狽える様子も、見覚え、聞き覚えのあることばかり。意地になって大人気ない嫌がらせをしてみたり、あ〜も〜ホント男ってダメね〜と笑い(男性の皆さんごめんなさい)、そして、サッカーをすることになった女性たち(ママも奥様もシングルマザーも独身者も学生もいます)のイキイキとした姿と格好良さにスカっとする。

実は、ラストは完全な予定調和にはならないのだけど、それでいいと思う。変わっていかなければならないことは、まだ沢山あるのが現実の社会だから。

女子サッカーの映画といえば、「ベッカムに恋して」というのがありました。こちらは家族や宗教といった縛りから飛び立ってサッカーをする女子学生の話だけれど、男女も年齢も人種も関係なく自分のしたいことができるということ、そし偏った見方や考え方に囚われないということは大切ですよね。

2021年3月21日鑑賞 by K.T