映画鑑賞記「イン・ザ・ハイツ」

公開日 2021年08月14日

イン・ザ・ハイツ

製作:2021年/アメリカ 143分
原題:In the Heights
監督:ジョン・M・チュウ

暑い夏にピッタリのミュージカルだ。

ニューヨーク、マンハッタンのワシントンハイツ。日々の暮らしに皆が追われる中、コンビニを経営するウスナビには、故郷ドミニカでバーを開店するという夢がある。ウスナビが想いを寄せるネイリストのバネッサにはデザイナーになるという夢が。ハイツの皆の希望を一身に背負い夢を追って西海岸の名門大学に行ったニーナは差別に耐えられず戻ってきてしまう。彼らの夢はどうなるのか・・・
そんなワシントンハイツの一夏の物語。

ミュージカル映画は苦手、という人も多い。舞台で観るのは楽しいし、 ミュージカルならではの迫力や熱量というものは確かにあるけれど、映画となるとしっくりこないことが・・・でも!このミュージカル映画にはそんな心配は無用!ラップを使った、ヒップホップでかつラテンな音楽にオープニングから釘付けだ。ラップの親和性といったら、いやもうミュージカルは、映画にするならみんなラップにしたら?と思うぐらい!

そしてダンス!
私はどれがサルサだかメレンゲだかの区別もできないのだけれど、ラテンのリズムで踊る一人一人のダンサーが素晴らしくて、一度では見切れない!という気持ちに。音楽とダンスで、143分(!)が瞬く間だった。

ストーリー映画として考えると、ミュージカルだけに余計な場面もないわけではないけれど、中南米からの移民の貧困や差別、移民1世とその後の世代、不法移民などの問題を提示し、その中で自分たちのアイデンティティを忘れずにコミュニティで手を取り合って強く生きていくという意志がしっかりと感じられる、強いメッセージを持った作品になっている。

暑い夏、そしてモヤモヤした気分をすっきりさせてくれるのは間違いないので、しっかり対策をして是非劇場に!

p.s.
オリジナルミュージカルの作者、リン=マニュエル・ミランダがかき氷売りとして出演している。エンドクレジット後まで見逃しのないように!

2021.8.7鑑賞 by K.T